名石に縁どられた水鏡に季節を映す庭。

ここは都指定名勝「清澄庭園」。その成り立ちは江戸の豪商、紀伊国屋門左衛門の屋敷跡とされる地に、三菱創設者の岩崎彌太郎が社員の慰安や貴賓の招待のために、「深川親睦園」(1880)を開園したことに始り、隅田川の水を引いて小島を配し、自社の汽船で全国から名石を運び、明治の代表的な「回遊式林泉庭園」として完成した。関東大震災(1923)や昭和の大空襲(1945)の折には避難所として機能し、その後1979年、都の名勝に指定された。その水際に1909年、英国からの国賓を迎えるために岩崎家が用意した数奇屋造の建物が「涼亭」である。

「文化財建築を同窓会や集会に。有料で仕出し弁当と酒類のサービスあり。」
私が紹介するまでもなく、整備された美しいロケーションと整った施設である。なぜだかどうしても書きたくなったのは、イベンターに課されたその無言の制約に燃えてしまったからである。※使用可能。但し音出し不可、電気使用不可、電源機材の持込み不可、釘・画鋲・テープ使用不可。

さて。ここでは水に映える景色が主役。人々の会話は肩越しに通り過ぎていき、徹底して意識を外に向ける造り。部屋の内側に集中する催しにはまるで向かないし、三方くるりと囲まれた回廊を利用しての展示には、外からの見え方も十分計画する必要がある。とすれば、閉園後の夜の部!しかし、回り真っ暗。

11月の一番いい紅葉の時期に合わせて、開園時間の延長とライトアップの予定があるそうで楽しみだが、期間中の施設貸出は残念ながら無い。それは「涼亭」が風景の一部として活躍しなければならないという納得の理由があるからだ。

敢えてイベントを催すなら、まだ陽の長い晩夏の夜を涼やかに楽しめる、閉園時間後17:00−20:30の貸出枠かな、と考えが落ち着く。普通は日中やるもんですよ。人がやってない使い方をしてやろうと燃えてきた同胞の方はぜひご相談ください。(企画者)

[参考/清澄庭園パンフレット他] 現地取材 2009.08.24

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