世界天文年。年に一度の特別公開日は2009.10.24(土)に。

この夏は皆既日食にペルセウス座流星群と、国立天文台のHPにアクセスした人は多いはず。国立天文台の前身、東京天文台は麻布飯倉に存在した。周辺の市街化に伴う観測環境の悪化と設備拡張のため移転を計画していた1923年(大正12)、関東大震災で被災、その翌年三鷹に機能を移転、1988年に国立天文台となり、昨年20周年を迎えた。三鷹キャンパスでは「大学共同利用機関」として研究者や院生に施設を開放するほか、限定範囲を一般に常時公開、また年に一度の特別公開を行っている。

気が遠くなるほど層厚く蝉が鳴く広大な森。成熟した木々に愛くるしく見え隠れする丸いドーム屋根は大正〜昭和初期の歴史的建造物。あるとき最先端の機能を有して活躍し、役割を終えた観測施設が貴重な資料を備えて一般に公開されているその場所が、先端の天文学の研究に携わる300人の職員の仕事場であるとは生きた博物館のようだ。さて、第一赤道儀室の傍らに、古墳への立入規制措置あり。これは何かと調べたら、ほぼ全域にかけて旧石器時代から近世までの複合遺跡だという。2005-07年の発掘調査で、この「天文台構内古墳」が全国で四例しかない「上円下方墳」を含むことを、三鷹市教育委員会が確認。築造は推定七世紀、府中市で見つかった国内最古で最大級の「武蔵府中熊野神社古墳」と供に、多摩川上流域に国の存在を示すものと推測されている。

「生命誕生の謎は、顕微鏡でなく望遠鏡が先に明らかにするのかもしれません。」とは僧侶でもある国立天文台長のことば。現代から太古を掘り下げる歴史の軸と、ミクロとマクロの先端科学の軸が、保全されたこの森から逆のベクトルで突き刺さっている思いがした。

利用条件等: 建物の撮影可。商用・モデル撮影は不可。昼時の食堂利用可。屋外トイレ完備。緑の中に喫煙場所と自販機とベンチが気持ちよく配置され、散策によし。(企画者)

[参考/国立天文台パンフレット・国立天文台HP] 現地取材2009.09.09

対象写真








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