イベント: 日蝕観測 2009年7月22日(水)09:00-13:00/検証: 廃墟をピンホールカメラ化して日蝕観測できるか。

当日の天気: 雨のち曇りで太陽見えず。雲で光が拡散していたためか、蝕の最大時も極端な暗さを感じなかった。

準備: 南側の換気扇の開口は、最大蝕のときに確実に太陽を捕らえる方角と高さだった為、観測用ピンホール位置に決定した。他にも周辺観察用に北側2箇所に設置。全ての開口部を隠蔽、室内は真っ暗に。破れたガラス窓は敢えて塞がず黒スプレーで塗装、自然光で周辺の木々や自生するツル植物の影が床に落ちるよう計算した。光量調節用にお住まい中のホームレスの方のこうもり傘を拝借。トップライト部は光量を絞るために、ガラス屋根に落ち葉を集積。室内部はメッシュ生地の間仕切で調節した。

検証成果: この建物は参道脇であるため樹木が多すぎる。実際のところ、晴れていても太陽観測はできなかっただろう。しかし、たとえ曇りや雨でも、ピンホール装置はちゃんと像を結ぶことが実証された。外から建物内に入ると、暗さに目が慣れるまでに少し時間を要する。写真とは違って、肉眼で見るピンホール映像は、限りなくモノクロに近いシックな色合いとして浮かび上がる。それは決して空間の邪魔にならないし、木々の揺らぎや遠くを走り抜ける車など刻々と変化する像が「点対称」で上下左右逆に見えるので、脳の解釈に遊びがあり、見飽きることがまるでない。参加者全員が他の誰かにも見せたいと、同じ感想をもったほど。

考察: 今回は、完全アナログ手法で映像空間を作り出すことを実験し成功した。電源がない廃墟だからといって役に立たないと思うのは大きな間違いである。

展開: 建物の中に居ながらにして、外の様子を誰にも知られることなく動画で見ることができる、優れた観察装置だと思った。場所柄、そっと人に気づかれずに建物がなくなって欲しいと願う持主の意向を踏まえ、広く告知する大人数のイベントはNG。個人的な作品撮りをしたいダンサーや、ファッション撮影を考えているデザイナーの方になら使いかなせるかもしれない。制約付きでもやってみようとお考えの方はぜひご連絡を。場所と装置をセットで提供します。募集期間09.10.31まで。(企画者)

廃墟で日蝕観測。企画書(PDF:96KB)

ピンホール撮影図面

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